買い換えの検証
2.新築建て売り住宅への買い換え次項で述べる注文建築も含めて、A氏は庭付き一戸建てに買い換えるなら、現在の住居より都心への通勤に時間のかかる遠隔地でもよいと考えていましたが、敷地はできれば一六五平方メートル(約五○坪)以上の広さがほしいというのが条件の一つになっています。手頃な候補としてあがったのが、久喜駅バス二一分の公庫融資付き建て売り住宅です。敷地は一九五・七七平方メートル、建物は一三一・六一平方メートル(4LDK)で、価格は六四三六万円です。久喜駅は、A氏の現住居のせんげん台駅からさらに準急電車で約二○分も北上しなければならないところであり、駅から現地への所要時間の差も含めると、通勤時間は片道三五分も多くなってしまいます。現住居より都心に近い地域に買い換えることが、サラリーマンにとっては不可能に近いという事情を理解していただけると思います。問題は、これだけ通勤時間を犠牲にしても住宅価格はマンションほど安くならないという厳しい現実に直面することにあります。この建て売り住宅を購入するために自己資金を二九六六万円出しても、なおかつ借入金の総額は三四七○万円になり、年間返済額一三六万円強になってしまいます。A氏の年収に占める返済負担率は一三・六%になり、家計に及ぼす圧迫度はマンションへの買い換えより大きいといわなければなりません。これは、建て売り住宅価格がマンションほど値下がりしなかったためです。
3.土地を買って注文建築をする土地を買って注文建築をするコースでも、ほぼ建て売り住宅への買い換えと同じようなことがいえるでしょう。表の買い換え計画の各コースを検討してみると、次のような現象に気がつくと思います。それは、買い換えといっても、マンションから庭付き一戸建て住宅に移るには、たとえ通勤時間を犠牲にしても、資金計画はかなり厳しいものになるということです。とくに注文建築の場合は現住居の売却代金だけでは自己資金が不足していて、手持ちの預貯金を約一三○○万円も投入しなければならないこと、さらにより多くの住宅ローンを借りることが不可欠になり、返済負担の重圧も増してくることがおわかりいただけるはずです。近い将来の住み替えに安易な夢を託してはいけないと前述した背景も、これで理解していただけると思います。